†Bloody Cross†
啜り泣くあたしの声がやみ、辺りにはまだ早い時間だというのに小鳥の囀りが響いている。
『なんだ、泣き止んだのか??』
ギュッと握り締めていた白夜の着物から手を離せば、それまで無言だった白夜がそう呟いた。
太陽が上りはじめ空が明るくなりはじめた頃、泣きすぎて少し重い瞼を持ち上げ白夜を見上げる。
声も泣きすぎたせいか出しにくく、白夜の問い掛けにコクリと首だけを縦に振る。
『泣けばいいとは言ったが……まさかこんなに泣くとはな』
白夜はあたしの腫れているだろう瞼を親指でなぞり、昇りはじめた陽を見ながら呆れたように呟く。
『ごめんなさい……でも、ありがと』
どうして白夜が、あたしにこんなことをしたのかは分からないけど……
それでも白夜のお陰で心が少し楽になったのは明白で、素直に嬉しいって思ったから。
『礼は不要だ。俺がやりたくてやっただけだからな』
『……嬉しかった』
離れていく白夜の体温に少し淋しさを感じながらも、無意識に浮かぶ笑顔で思ったままの言葉を口にする。
呟きながら真っ直ぐに白夜の瞳を見つめれば、白夜は一番優しげにフワリと微笑んだ。