†Bloody Cross†
――――………
「……??」
いくら時間がたっても身体に衝撃がこない事を不思議に思い、恐る恐る目を開く。
「……っ?!なっ」
俺の瞳のわずか10センチ程度先に、蒼がかまえる剣の切っ先が向けられていた。
剣をたどり、蒼の顔を見ると宵闇の中に浮かぶ、蒼の冷たい瞳が俺を見つめていた。
蒼が静かに言葉を紡ぎだす。
「闘いの最中に目を閉じるなんて……無防備ね。死ぬ気で来た割りには呆気ないじゃない??」
呆れたように言葉を吐き出しながらも……俺に向けられた剣は揺るぎなく微動だにしていない。
俺……死ぬのか??
こんな簡単に……??
死ぬ覚悟で仇討ちに来たはずなのに、いざ死ぬ状況に追い込まれれば、襲うのは"恐怖"と"後悔"
死にたくない……来なければ良かったと、心が悲痛な叫びを上げる。
でも……今更だろうと助けをこうのは俺の何かが許さなくて……
「殺すなら早くやれよ??」
俺は強がって口元に挑発的な笑みを浮かべた。