†Bloody Cross†
「な、んだ……??」
驚いて顔を上げ、音がしたほうに視線を向ける。
そこには俺が持っている短剣よりも一回り小さい短剣が、何本も転がっていた。
「永遠……。残念だけど……時間が無いみたい」
月光が微かに届く宵闇の中で、蒼は深い木に覆われた一点を睨み付けながら重く口を開いた。
剣をかまえている蒼の姿とさっきの蒼の言葉、足元に転がる短剣を見れば、俺にだってどんな状況が理解できる。
「――――襲撃……??」
「……」
蒼の表情と無言の沈黙が、俺の言葉に対する肯定のような気がした。
「……実際は襲撃なんて大袈裟なものではないの。こんなの毎晩あるからね」
しばらくして辺りに視線を這わせながら、蒼が冷静に呟いた。
俺も鋭い視線を走らせながら、蒼の言葉に耳を傾けた。
「あたしが襲撃に遭うのはいつもの事。だけど今の攻撃は……」
「――――確実に永遠を狙っていた」
「っ?!!」
――――ヒュンッキィィンッ!!
俺は蒼の言葉と、それと同時に受けた攻撃に息をのんだ――――……。