†Bloody Cross†
――――ズガァンッ!!
あたしの片手に握られた銀の銃が大きな銃声を上げる。
時計塔の屋根の上からよく見える庭には、1人の吸血鬼と1人の人間。
人間……刹那はあたしをゆっくり見上げると、永遠の首から手を離した。
永遠はその場に崩れるように倒れる。
刹那が永遠から手を離したのを見て、あたしは時計塔の屋根から飛び降りた。
音もなく刹那の前に着地すると、あたしは刹那にゆっくり視線を向ける。
「刹那、何をしているの?」
「……いつから見てたんだ?」
質問の答えになってない……。
噛み合わない刹那との会話に、あたしは刹那に聞こえるようにため息を吐く。
「永遠がここに来た時から見てた」
「そうか。なら、"何してるの"は愚問だろ」
冷めた目で永遠を見下ろしながら……刹那はゆっくりと口の端を持ち上げた。
確かに愚問かもしれない。
何をしようとしていたかなんて、あたしは見ているだけで分かった。
でも……だからこそ…………
「刹那の口から聞きたいの。何をしようとしていたの?」
問いただすように、少しキツい口調で呟きかける。
「あえて口にさせるのか……。まぁ、蒼らしいけど」
刹那は一瞬だけ顔を俯かせたけど、すぐに元の残酷な笑顔を浮かべた。
「役に立たなそうだから……殺しちゃおうと思って」