†Bloody Cross†
少し乱れた髪を整えながら、あたしは刹那の言葉を思い出す。
"殺しちゃおうと思って"
"俺の力"なんて無くても困らないだろ??"
刹那はどうしてあんな事を言ったの??
あたしの脳裏に浮かぶのは、切なげな彼の声と闇に揺れる瞳。
頭には、撫でられた彼の暖かい手の感触が残っている。
今日の刹那はどこか様子が変だ。
狂喜的な様子を見せたかと思ったら、次の瞬間には悲観的に去っていく。
刹那は……彼はあんなに感情の起伏が激しくなかったはず。
感情が不安定になれば、自分自身を危険に晒すことになるのだから……
もしかしたら、誰かが刹那に……何かを吹き込んだのかもしれない。
今のところ怪しいのは……
――――牙來条彼方
牙來条彼方は永遠と学校に転校してきたのだから、絶対に吸血鬼。
それに"牙來条"という姓……どこかで見たことがある。