†Bloody Cross†

少し乱れた髪を整えながら、あたしは刹那の言葉を思い出す。




"殺しちゃおうと思って"




"俺の力"なんて無くても困らないだろ??"




刹那はどうしてあんな事を言ったの??

あたしの脳裏に浮かぶのは、切なげな彼の声と闇に揺れる瞳。

頭には、撫でられた彼の暖かい手の感触が残っている。

今日の刹那はどこか様子が変だ。

狂喜的な様子を見せたかと思ったら、次の瞬間には悲観的に去っていく。

刹那は……彼はあんなに感情の起伏が激しくなかったはず。




感情が不安定になれば、自分自身を危険に晒すことになるのだから……




もしかしたら、誰かが刹那に……何かを吹き込んだのかもしれない。

今のところ怪しいのは……




――――牙來条彼方




牙來条彼方は永遠と学校に転校してきたのだから、絶対に吸血鬼。

それに"牙來条"という姓……どこかで見たことがある。






< 87 / 99 >

この作品をシェア

pagetop