†Bloody Cross†

あたしは足元に倒れている、顔色の悪い愚かで哀れな吸血鬼に視線を向ける。




永遠がこうなったのは刹那が力を吸収したからで……それは刹那が永遠を侵入者とみなしたから。

永遠が勝手に侵入したから自業自得とも言える。

でも……侵入しただけなんだから、ここまでする必要は無かった。

だから、今回は一概に片方だけがが悪いとは言えない。




侵入したのは永遠だけど……ここがどこか分かってて来たわけじゃないはず。

刹那は精神不安定で少し見境がなかった。

永遠は確かに怪しい。

彼はきっと吸血鬼族からの刺客なんだろう。




でも……まだ永遠に襲撃を受けたわけじゃないから。




あたしは小さくため息を吐くと、時計塔にかけた術範囲を広げ、ギリギリ永遠が入るようにする。

「……」

これで永遠が目を覚ましても逃げられることは無いだろうし、これでまぁ……一応安心。

永遠に対する心配が無くなったあたしは、迷わず時計塔の中に足を踏み入れた。






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