この想いを君に… −三つ子編−
「パパ!」

俺は慌ててパパの顔を見上げた。

きっと暴れそうな俺を抱きしめて痛みが走ったに違いない。

「ゴメン…!!」

ママの顔色も変わった。

「…いや、いいんだ。冗談の度が過ぎたのはこっちだから」

パパはゆっくりと俺から手を離す。

そして腕を押さえた。

「そーちゃん!」

さっきまでふざけていたママも流石に真剣になっている。

「うん、大丈夫だから」

パパは顔を上げてママに微笑む。

その場は安堵に包まれた。



パパは去年の秋、ALSという難病に罹った。

筋肉が痩衰えていく病気。

今はまだ怠さと痛さくらいで済んでいるけれどそのうち、歩けなくなり立っていられなくなり、手でなにかを掴む事も。

話さえ出来なくなって最後は呼吸する事すら出来なくなる。

原因はわからない。



「パパ、ごめん…」

もう一度謝る。

「いいよ、大丈夫だから。
それより…」

パパは改めてチョコの山を見つめた。

「本当に凄いなあ…」
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