この想いを君に… −三つ子編−
無事に午前と午後の走行が終わり、マシンのチェックをしていた。

パパは少し体調が悪くなり学さんと席を外している。

夏といえども東北はもう十分秋の空気を含んでいて日が傾き始めると少し寒さを感じた。



パドック通路をフラフラと歩いていると前から見た事のある人達を見つけた。

「…どうも」

お店のお客さんだから無愛想には出来ない。

「中々良い感じだったね」

そう話をするのは羽曳野のお父さんだった。

「はい、おかげさまで」

だいぶ慣れてきた作り笑いをする。

「お父さん、かなり悪いみたいだけど…大丈夫?」

それには一瞬、顔が引き攣った。

「…大丈夫とは言えませんが何とか今回来る事が出来ました」

そんな会話をしている横で羽曳野は目をキラキラさせて俺を見ていた。
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