この想いを君に… −三つ子編−
しかし…

むっちゃんと八尾はずーっと一緒にいる。

マシンのセッティングも常に隣に八尾を座らせているむっちゃん。

…何考えてるの?

全く興味ない八尾にどうしてそんな事を見せるのさ?

…興味ない?

ないのにここまで来るかなあ?

あれ?

そういえば八尾は全く嫌そうじゃない。

むしろむっちゃんのする事を楽しそうに見つめている。

あれ…?



じっと二人の様子を見て考えた。



ひょっとして。



「あのさあ」

むっちゃんと八尾が俺を見つめる。

「ひょっとしてバイク好き?」

八尾はしばらく俺の顔を見つめていたけど、やがて

「昔、お兄ちゃんがミニバイクのレースに出てたの。
今はもうやってないけど」



初耳だ!!



「多分知樹、一緒に走ってるよ。
確かそのレースは知樹が優勝したはずだから」

むっちゃん、そんな情報は先に教えろよ!!

「一度大怪我をしてから親が猛反対して辞める事になったの。
…だから今回もレースを見に行くって言ったら正直良い顔はしなかった。
でも、今行かなければ後悔する、受験も手につかないって言ったら許してくれた」

少しだけ舌を出して八尾は笑っていた。
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