この想いを君に… −三つ子編−
「意外だった?」

その日の夜。

俺と八尾は二人で田舎の夜道を歩いていた。

夕涼みに出掛けると言って。

「うん、意外だった」

俺が苦笑いをすると八尾も笑った。

「昔から門真くんの事は知ってたよ。
…2歳年上のお兄ちゃんより凄く速くて、同い年とは思えなかったなあ」

八尾はそう言って目の前を流れる小川を見つめている。

月の光がキラキラと反射していた。

「昔からカッコよかったな」

そんな事を言われたら。

意識してしまう。



帰り道、俺達は黙って歩いた。

それが重苦しい雰囲気かと言えばそうでもなく。

涼しい風が時折吹いて、居心地が良かった。
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