この想いを君に… −三つ子編−
翌日。

自分も周りのコンディションも良い。

晴れた空が気持ち良かった。

「ともき」

決勝が始まる前、パパに呼び止められた。

「どうしたの?」

パパに近付くと俺は耳をパパの口元に持って行った。

特に最近、声が出なくなってきたパパ。

こうしないと聞こえない。

「…ゆうしょうしたら、こくはくしろよ」

思わず俺はのけ反る。

握りこぶしを自分の口元に当てて動揺を抑えようとした。

「優勝なんて、むっちゃんがいる限り無理だよ」

首を横に振ると

「むりなもんか。…だれだってチャンスはあるんだ。
…れいせいなはんだんだよ」

「でも難しいよ!!」

むっちゃんだけじゃない、智道だっているんだ。

「むずかしいからかけるんだよ。
ここでかてたらおまえのこいもうまくいく」

パパは苦しいのに俺に笑みを見せた。





…そんな賭け。

パパ、よく俺にさせるよな。



そう思いながらマシンに乗った。
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