この想いを君に… −三つ子編−
「こんな写真が載っていたんだけど」

翌日、八尾 ミチルが俺にケータイを開いて見せた。

桜ファンのブログに。

俺と桜が手を繋いで歩いてる、昨日の駅からの帰りの写真が掲載されていた。

何なんだよ、コレ?

「知樹の事を彼氏って思っているみたい」

ミチルは苦笑いをしている。

「…いい迷惑」

俺はため息混じりに吐き捨てた。

「でも、これじゃ誤解されるわよ?」

「…仲が良いんだよ」

俺の手をじっと見つめるから

「何、手を繋いで欲しいの?」

一瞬でミチルの手を握りしめた。

ミチルの顔が赤くなる。

「そんな事、言ってない!!」

ミチルは否定するけど、俺とミチルはまだ手を繋いで歩いたりしてない。

あれから…

あの夏のレースから2ヶ月近く経とうとしているのに、別にデートをする訳でもなく。

毎日学校の中庭で昼休みに弁当を一緒に食べるだけ。

たったそれだけ。

ベタベタする事もなかった。



ベタベタ出来ない理由の人間が今、俺達の隣を歩いて行った。
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