この想いを君に… −三つ子編−
「お断りします」

だいたいの進路を決める為の三者懇談が10月末にあった。

その週はレースウィークで苛立っていたのは確かだった。

「俺は渋川高校に行きます」

担任の顔色が変わる。

俺の隣にいるママはのほほんとしていた。

「桜ヶ丘から是非とも来て欲しいって言われているのに、どうして?」

俺は一呼吸置いて

「桜ヶ丘に行けば必ず羽曳野もそこを受けます。
まず、それが嫌です」

ハッキリと言ってやった。

「それに桜ヶ丘は母や姉の母校ですし…
ツテは使いたくありません。
行けば特別扱いは目に見えています。
だから渋川に行きます」

パパの母校へ。

公立だから親族が卒業生でも、何もない。

「お母さんはどうお考えですか?」

ママに助けを求めても…

「知樹の好きな所に行かせたいです」

ママはニッコリ微笑んでそれ以上何も言わなかった。
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