この想いを君に… −三つ子編−
『へえ〜、知樹、大変だね』

電話の向こうから聞こえる声は智道くん。

「悩んでるよ〜」

可哀相なくらい。

『はっきり断った方がいいんじゃない?』

「うん、そう思う」

けど、知樹はいざという時優しいから断れないと思う。

『あ、ゴメン、電話切るね』

智道くんの声が焦る。

きっと両親が近くにいると思う。

「うん」

私は通話を切る。

私も自分の両親にはまだ話していない、智道くんと付き合っている事を。

智道くんはもっと話せない。

だって…私のパパと智道くんのパパは昔から友達だったけど、どうも20歳前後の時に何かがあったらしくて今ではあまり仲が良くない。

元々レース仲間だし、パパ達が現役の時は歴史に残るようなバトルもあったのに。

引退後のそれぞれの道へ進んでますます合わなくなったらしい。



私達が付き合う事になった、と知ったら…



どうなるんだろ?
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