この想いを君に… −三つ子編−
「みんなを見てるとね…
特に泰樹の家族や知り合いを見てると、個性が強いなあって思う」

ゆかりは急に真面目になってゆっくりと周りにいる連中をそれぞれ見つめ始めた。

「お互いを意識しつつ、それでも自分は自分なんだって。
多少、他人とは違っていてもそれを恥じる事なく堂々としていて…」

ゆかりは僕を急に見つめて

「あたしなんか周りが何をしてるんだろう、周りと同じ事をしてるのかな、なんてそんな事ばっかり考えていて、周りと同じじゃないと不安になる」

…普通はそうなんだろう。

学校にいて特にそう思うけど、僕の家族は違った。

「だからそれを気にしない泰樹やその周りの人達が羨ましい」

ゆかりは微笑んだ。

「ここにいるとそんなちっぽけな事がどうでも良くなってきて、自分が本当にやりたい事を精一杯したいって思うようになる。
だから刺激をいっぱい受けて少しずつ、変わっていきたいよ」
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