この想いを君に… −三つ子編−
2月下旬。

新体操のアジアジュニア選手権が日本で開催される。

海外の試合だと家族が来ない事が多いんだけど、日本となると話は別。

今回は店を臨時休業してまで来るパパ。

パパだけじゃない、お店の人も。

私を知っている人がかなり来る。

これが海外なら、逆に良かった。

知っている人から見られると本当に恥ずかしい。



私は中学に入ってから急に身体能力が上がり、国際大会に初めて出た時。

いきなり優勝してしまった。

確かにあの時、そんなに有力選手がいなかったから…というのもあるけれど、そのおかげで注目が集まりプレッシャーを感じる。

実力がないのに。

たまたまラッキーが起こっただけ…

そう思いたいのに、世間は違う。

『新体操のニュースター』

などと騒がれる。

騒がれるのは私自身だけではない。

パパはその昔、二輪ロードレースで全日本チャンピオンになった事もあり、更に3歳年上のむっちゃんもつい先シーズン、シリーズチャンピオンになり、三つ子の兄、知樹もむっちゃんにはまだ追いつかないけれど、いずれは追い越し、世界にチャレンジする可能性が高い。

もう一人の三つ子の兄、泰樹は音楽の才能に満ち溢れていて、インディーズデビューは果たした。

今はライブで経験を積んでいつかはメジャーデビューを果たしたい、と言っていた。

そして私の演技の曲も担当してくれている。



それをあちこちで掻き立てる取材陣。

マスコミなんて…嫌いだ。
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