この想いを君に… −三つ子編−
「何で俺がお前を売らなきゃならないの?」

パパは顔色を変えてはいなかった。

けれど声は怒っていた。

「お前が拒絶反応を起こすくらい、苦手な子なんだろ?
何となく子供には甘そうな親だったから回答はしてないよ」

パパはママを見つめた。

ママも頷いて俺を見つめる。

「私もその時、お店にいたんだけどね。
きっと可愛い娘の事を思って自分が経営してる会社をスポンサーにして知樹とその子を近づけようとしたんだと思う」

ママの目は真剣で

「知樹が嫌がっているのに、スポンサーだなんてとんでもない!!
そりゃレースの為には有り難い話だけど…私は絶対に反対」

普段、軽いママからそんな言葉が出るなんて…

俺、本気で泣きそうだった。
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