この想いを君に… −三つ子編−
「…何かあったの?」

しゃがみ込んだまま、パチパチと拍手した高井田さんは上目使いのまま、僕を見つめた。

「うーん…」

僕はもう歌う気を無くしていたのでギターを片付けた。

「…自分の歌が、作れない」

その瞬間、駅前の噴水の水が上がった。

僕の、あまりにも悲しい表情に高井田さんは目を丸くしていた。

「どうして…?」

僕は俯く。

「プロダクションの社長が『売れる』曲を作れって」

高井田さんは立ち上がって握り拳を作るから殴られる!!って思って目を閉じた。

噴水の音って…こんなにうるさかったっけ?

目を閉じて、飛んでくるだろう鉄拳を待った。
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