この想いを君に… −三つ子編−
「知樹さあ…」

パパはため息混じりに呟く。

「中学卒業したら定時制か通信制に通ってお店に入りたいって言ってるけど」

ママも顔のお手入れしている手を止めた。

そしてパパを見つめる。

「俺は普通に高校を卒業して、もし興味のある学部があれば…例えば本当にバイクの世界に来たいなら機械工学とか。
そういうのを学んで友達をたくさん作って…
そしてバイク以外の思い出をたくさん作って欲しいんだ」

沈黙が流れる。

ママは何か言いたそうにして止めた。

「俺は色々な事情で大学は諦めなければならなかったから。
本当は機械系の学問をやりたかったね〜」

懐かしそうに微笑む。

それを見て少し安心した。

パパは私達の好きなようにさせてくれるからパパは自分の道を好きなように生きてきたって思っていたから。

まさかパパが大学行きたかった、なんて。

「知樹、成績は良いし、勉強は嫌いじゃないと思う。
やっぱりじっくりと勉強出来る環境にいた方がいいんじゃないかな」



…パパ、本人に言いなよ。
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