この想いを君に… −三つ子編−
パパもハッキリと言わないけど、多分、私から知樹を説得して欲しいという事なんだろうな。

まあ、この三つ子のうち、一番勉強が出来るのは知樹だし。

その次、泰樹で私が一番出来ない。

…それはともかく。

知樹。



「入るよー」

知樹の部屋に乱入する。

ベッドに横になりながら知樹は難しい本を読んでいた。

「ナニソレ?」

普通の雑誌ではない事がわかる。

「古本屋で見つけた」

−情報工学−

「…ナニソレ?」

もう一度聞く。

「…大学のテキスト」

知樹はチラッと私を見てすぐに本に視線を戻した。

「解るの?」

知樹がイライラしながら起き上がると

「…解るよ」

本を閉じた。

そして私を見つめて

「何?」

私は知樹のベッドに腰を掛けた。
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