この想いを君に… −三つ子編−
「真由ちゃんから連絡あった、桜が傘忘れてるって」

運転席には柏原 祥太郎。

隣の家に住み、パパと同じバイク屋で働く国際A級ライセンスを持つロードレースのライダー。

小さい時からよく知っているので家族同然だった。

「光さんは?」

「光さんは先に家に送ったよ」

住吉 光。

この人もバイク屋の店員兼ライダーだったけれど、去年引退して故郷の大阪に帰った。

けど、またこの6月から店に戻ってきて私の家で同居している。

「まあ、傘忘れるなんて桜らしいけどね」

「悪かったわね?」

何だか、久々に祥ちゃんの隣で車に乗っているなあ、なんてのんきな事を考えていた。
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