狼彼氏×子兎彼女
「さっきはどうもありがと」
小さい声でつぶやいた。
そしたらそのまま壁に押し付けられた。
ここは寮の中だけど誰も人が来ない、
最上階の端っこ。
こんな所にくる人なんてみたことない。
「大丈夫か?」
ふいにかけられたその言葉。
あたしの中の不安がいっきに溢れだした。
やばい、涙止まんないよ…。
あんな優しい言葉反則だよ。
そして悠弥に抱きしめられた。
「胸、かしてやるよ…。」
そう言ってさっきよりも強く抱きしめた。
「ありがと…」
そして、あたしは悠弥の制服に
しみができるぐらい泣いた。
涙が枯れるくらいまで泣いた。
それでもあたしが泣き止むまで、
ずっと抱きしめてくれていた。
そんな悠弥が嬉しくて、
そばにいてくれるだけで幸せだった。