記憶 ―砂漠の花―[番外編]
そんな中、ふとリフィル様がお外を見たの。
アタシもつられて見てみたのだけれど、お日様が傾いて夕暮れになってきていただけだった。
「もう、こんな時間…。タビちゃんお家の方が心配されているわ…。」
『アタシ大丈夫よ?ご主人様は旅行中にゃにょよ。泊めてくだしゃると嬉しいにょだけりぇど…』
アタシは可愛らしく、首を傾げて頼んでみた。
リフィル様は、嬉しいような困るような素振りを繰り返した。
結局は、困った顔でこう言ったのよ。
「嬉しいのよ、お友達は何十年もいなかったから…。でもね?危ないの。もうすぐ…」
…もうすぐ…?
リフィル様の言葉を待つ中で、突然、男の声がした。
「もうすぐ、私が来るから、ですか…?」
…にゃっ!?
声から遅れて、男の姿が部屋に現れた。
「――マルク!」
リフィル様はそう呟くと、アタシを守るように胸の中にしっかりと抱いてくれたの。
…こいちゅが…
マルクね…
アタシったら、幸か不幸か会ってしまったわけ。
マルクは不敵な笑みを浮かべてこちらを見る。