記憶 ―砂漠の花―[番外編]
「いくら私でも、そんな仔猫まで手をかけたりしませんよ…?貴女にせっかく出来たお友達ですからね…?」
……普通の猫、
アタシは普通の仔猫ちゃん。
可愛い可愛い仔猫ちゃん…。
自分に再確認して口を開いた。
ニャ…
『こんにちは、なにょ。あなた、アタシを苛めにゃい?』
アタシはリフィル様のお膝の上で、可愛らしく首を傾げる。
自分の武器は知っていたわ。
アタシ賢い子だから。
「苛めませんよ?男の子たちに追いかけられて大変でしたね?」
…にゃ?
『ご存じにゃにょ?』
「えぇ…それで城に逃げ込んだ。まぁ、ゆっくりして行きなさい?」
……ぅみゅ…
むぅ…。
ちょっとだけ天敵に感謝しなくちゃいけなくなった状況に、アタシは不服ながらも笑顔を守り通した。
二ャァ…
『…お言葉に甘えりゅわ。』
マルクは、そんなアタシを鼻で笑ったわ。
…かんじ悪いわにぇ。
これ以上、アタシには興味ないようで、すぐにリフィル様に視線を向けた。
「さぁ…、リフィル様はお時間です。謁見の間にお願いしますね?」