記憶 ―砂漠の花―[番外編]


気が付くと、
リフィル様のお顔があった。


「…タビちゃん…?」

…心配そうなお顔。
アタシは、はっと目を開けた。


「良かった…。何も…何もされていない?」

リフィル様はアタシの体を見回した。
アタシは大きく全身を使って伸びをする。


『大丈夫みたいにゃにょよ?』


ぅにゃぁ…
よく寝たにゃ…


…そんな事思っている場合ではなかったのに、幼いアタシは不覚にもそう欠伸をした。


もう一度、彼女の顔を見て…
はっ…となる。


――ぅにゃッ!


『リフィル様こしょ大丈夫にゃにょ!?』

「…大丈夫よ…?」

悲しい瞳でそう言った。

…本当かしりゃ…
辛そうにゃにょ…


アタシは、すりすりと彼女の手に身を寄せた。

彼女は、


「…毎日こうなのよ…?だから、大丈夫…」

そう辛そうに笑った。


アタシの目はみるみる涙で濡れる。


…にゃんで笑えるの?
辛いにょよ。
絶対に辛いにょ…


「…泣いてくれるの?優しいのね、タビちゃん…」

優しいのは貴女なのに、そう微笑む。


…アタシ、ちゃんと全てをご主人様に伝えりゅかりゃ…!

絶対よ、
待っててにぇ…

アタシは密かに、そう誓ったのよ。


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