記憶 ―砂漠の花―[番外編]

アタシは自分の目を疑った。

そこには、
ただ静かにリフィル様の寝顔を切なそうに見つめる、マルクの姿…


……にゃんれ?
悪いにょは、あんたよ?


辛そうに、切なそうに、
でも…
それは、憎しみにも見える…。


マルクは、リフィル様の頬に触れようとして…、
躊躇して手を引っ込めた。


「貴女は…私を裏切った…。…許しませんよ、リフィル様…」

その瞳はメラメラと…
憎しみの炎を灯す。


「…私は…私の野望を諦めません…。例え…貴女が…私を裏切ったとしても……」

憎しみの宿る瞳を伏せた。
それは悲しげに…


…アタシの勘違い?
悪者のマルクが悲しそうに見えたのは…?


マルクは、消えた。


アタシは、自分が盗み聞きしていた事に気付かれなくてホッと胸を撫で下ろしていたの。


アタシはリフィル様を見た。
変わらぬ、一時の安らかな寝顔。


…にゃにかしりゃ。
どうゆう事かしりゃ…?


二人は、何かあったのかな…、そう思った。

でも、幼いアタシは愛だの恋だの、大人の事情はサッパリ分からなくて。


…あの時、ご主人様にこの出来事をお話ししていたら、

何か変わっていたのかしら…?


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