記憶 ―砂漠の花―[番外編]
アタシ、
マルクの足に擦り寄ってしまったの…。
そうなの。
すりすり、と…
ご主人様に、危ないから近付くなって言われていたのにね?
「…タビちゃん…!?」
リフィル様の声で、我に返る。
…ニャッ?
『アタシってば、にゃにを?』
上を見上げると、マルクもアタシの思わぬ行動にびっくりしたのね。
固まって、アタシを見てたわ。
お互い3秒停止。
マルクはアタシに手を伸ばす。
…にゃんかヤバイわ。
逃げにゃくちゃッ…
そう思った時には手遅れ。
アタシはマルクの両手に捕まった。
「ちょうどいい…。今からルリ島へ行くんですが…あなたも行きますか?」
『嫌よぅ、お家に帰りゅ~!』
アタシは手の中で暴れた。
すると、マルクはアタシの首根っこを捕まえて宙吊りにしたの。
「ルリ島のお妃様にも、遊び相手がたまには必要でしょう…?」
マルクは楽しそうだった。
『アタシ帰りゅにょ~…』
アタシは必死に暴れたんだけど。
そのままの状態で連れていかれた。
「タビちゃん…!」
そう心配そうにアタシを呼ぶリフィル様を残して。
何て強引なのかしら。
だから男の人なんて嫌いよッ。