記憶 ―砂漠の花―[番外編]


「大丈夫…?猫ちゃん…」

誰かがアタシにそう言った。


アタシは恐る恐る目を開けると、お部屋の中にいたはずなのにお外だった。

目の前には、優しそうな女の人のお顔。
でもリフィル様じゃなかった。


…にゃ!?
アタシ、どうしたにょ?


ビクッと身をこわばらせると辺りを見回した。


「…大丈夫よ…?気を失っていたの…。」

女の人は震えるアタシをそっと撫でた。


『…ここはどこにゃにょ?』

「ここはルリ島です。あなたにはカルラの相手を…と思ったのですが、気を失うのを忘れていましたよ…」

マルクは少し離れた所に立っていた。


…小しゃにゃ島にぇ?
どうやって来たにょかしりゃ?


「さぁ…私の用は済みましたから、私は帰りますが、猫ちゃん…あなたどうしますか…?」

マルクはアタシにそう聞いた。


ニャァ!
『…帰りゅわよ!お家に帰りゅんだかりゃ!』


マルクは意地悪そうに笑うと、


「またすぐに気を失うんですよ…?いいんですか…?」

そう言ったのだけれど、アタシは立ち上がった。


ご主人様にお伝えしゅりゅんだかりゃ!

無事に帰りたい、
ご主人様に伝えたい、
その気持ちでいっぱいで。

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