記憶 ―砂漠の花―[番外編]
アタシはこの時、
この金髪の女の人が誰なのか、なんでここにいるのかなんて重要視していなかったのよ。
まさか、
カルラ様だったなんてね?
アタシは彼女の手から離れ、マルクへ向かって歩き出した。
「そうね。残念だけどお外の世界に帰りなさいね。」
女の人はそう言った。
言葉は通じないけれど、アタシの様子で察したようだった。
ニャァ…
『あなたともお友達になりぇしょうだけど、ごめんなしゃい。』
マルクは再びアタシの首根っこを捕まえた。
…こにょ持ち方、
気に入らにゃいわ…
仮にもレディにゃにょよ!?
文句を言ってやろうと口を開こうとしたその時…
マルクが、
「…きっと、また…たくさんのお友達を連れて遊びに来てくれますから…。」
そう呟いたの。
女の人には届かない小さな声で…。
ふっ…と小さく笑った。
アタシ、この時は、
『アタシお友達少にゃいし、来にゃいわよ!?』
と言ったのだけど。
今、考えたら…
『お友達』って…、
なんて、
アタシの思い過ごしよねぇ…?