記憶 ―砂漠の花―[番外編]
…こわい、こわい。
こにょ人…こわい。
どこまで知ってりゅの?
この笑みの裏に、
何かを隠している。
アタシの正体…
気が付いていたの?
だったら、
どうして帰してくれるの?
急に不安に襲われて、
アタシはリフィル様にお別れも言わず、
一目散に逃げ出した。
あの笑いが…、
耳から離れない。
『ご主人様の元へお帰り…』
城から街へ。
街から外へ…
そして、
安全なはずの地下道へ…
ご主人様…!
ご主人様、ご主人様…
アタシは一度も止まる事なく、お家を目指して走った。
ばれた…
ばれたかもしりぇにゃい…!
どうしよう…
アタシの頭の中は、
そればかり。
…はぁ…はぁ…
はぁ…はぁ…
『…ご主人様?』
お家には、まだ誰もいなくて…
アタシは泣きそうになった。
心細かった。
アタシは、玄関の前に座って待っていた。
…でも、
泥んこの足だけは許せなくて拭き拭きしてきたけど。