記憶 ―砂漠の花―[番外編]
でも、違った。
「あぁ~!猫ちゃん~!小さい、可愛い!おいで~?」
アタシ目指して両手を広げる。
突進してくる。
どうしても、あの天敵を連想させる。
――シャァッ!
アタシは威嚇した。
『通じにゃいじゃにゃい!!紛りゃわしい!近づかにゃいで!嫌いよ!!』
そして、もう二人の男性が入ってくる。
これが、キースとアズの事ね。
…ダメ…
こにょ二人も金髪…
言葉が通じにゃい…
「おいで、おいで…」
「あ、猫。アイリが喜ぶな、おいで…!」
――シャァッ!!
機嫌が悪いアタシは、もう誰の手にもおえない。
『男の人にゃんて嫌いよッ!』
「あぁ…悪いな。タビは人見知りでね…」
ご主人様は居間から顔だけ出すとそう言った。
その髪はまだ金色。
…ぅみゅぅ~…
ご主人様ぁ…
ひどいぃ…
アタシ怒りゅわよ…?
アタシは悲しくなった。
でも、あることに気付く。
『…アイリ…?』
もう一人お友達がいるのにぇ?
玄関の外から、声がする。
アタシは扉に耳を寄せて、外の会話に耳を澄ます。