記憶 ―砂漠の花―[番外編]
『…女の人だわ…。馬と会話してりゅ…』
…間違いにゃい。
ウィッチだわにぇ…
アタシはそう確信したの。
開く扉から、
黒い髪に青い瞳の女の人が現れる。
アタシは、扉の前で、
ちょこんとお出迎え。
これが彼女との初めての会話。
「かっ…可愛い…!こんにちは。お名前は?」
アタシは可愛く、首を傾げて高い声で、
ニャァ~と鳴いた。
『こんにちゃ?こんばんわよ、アイリちゃん。』
…言葉が通じりゅ。
こりぇでひと安心だわ。
『いらっしゃい。アタシの名前は、タビ。』
…ここからは、
皆も知っているお話。
これが、
アタシの大冒険で、
見たもの。
感じたもの。
…どう思う?
今、少し大人になったアタシが思う事。
きっと…
マルクはアタシの事、
分かってた。
最初から…
遠い昔に、
マルクとリフィル様に何があったかは知らないけど、
まだ、きっと…
二人とも心の何処かで…
マルクは誰かに少しだけ、
止めて欲しかったんじゃないかな。
だから…、
アタシをあの島へ、
ルリ島へ連れて行った。