記憶 ―砂漠の花―[番外編]
そんな言葉、
使った事はない。
俺じゃない。
でも、
そんな想いで心が溢れてる。
言いたい。
でも、言えない。
…強い、想い。
決まって、
映像が、場面が飛ぶ。
多分、時間は遡っている。
あの花壇の場面より、あの女性の姿が、幼いからだ。
俺は…、
その子と手を繋いでいた。
『みてみて。アイリとおなじ。くろいかみにしたんだ!カッコイイだろ?』
知らない男の子が、
俺たちの前でそう言う。
『アイリ、くろいかみキライだもん!アランもキライ!』
そう言って、
女の子が泣き出した…。
俺は、急に腹が立って、
男の子にこう言った。
『アラン!アイリをいじめるなよ!』
夢の中の俺は、
泣きじゃくる女の子を、
一生懸命慰めて、
小さな手で、
頭を撫でていた…。
ふと、
見上げると、
唇を噛んで、
俺たちを見ている男の子。
俺は、その子を睨んでいた。
オレガ、
マモルンダ…
ワタサナイ…
夢の中の俺は、
いつも、
そう思ってるんだ。
――君たちは、誰…?