記憶 ―砂漠の花―[番外編]
これは、
俺の夢…。
夢の中の出来事。
いつも、砂漠の風景。
いつものあの子。
覚えているだけでも、相当の確率で同じ様な夢を見る。
…昔から、だ。
俺の頭が、勝手に作り出したものだ。
現実じゃない。
分かっているのに…
テレビ番組で砂漠が流れれば、
同じ光景はないか、
画面の中に彼女がいないか、
食い入る様に探してしまう。
いるわけない。
あるはず、ない…。
いっその事…、
誰かにこの不可解な出来事を共有してもらおうと、打ち明けてしまおうかと口を開いた事もある。
でも…、
口から言葉にして外に出してしまったら、
この懐かしさが、
せつなさが、
情景が、
あの子が…
俺から逃げてしまう気がして。
今も尚、
俺だけの物のまま…。
俺から、
外に出しちゃいけない。
とどめなきゃ…、
コレを、失っちゃいけない。