記憶 ―砂漠の花―[番外編]
地球から、失われてしまった「緑」を増やしたい。
このまま、温暖化が進んだらどうなる?
海水の温度も上がる。
北極の氷は、もう溶け始めている。
気温上昇。
今年の暑さは異常だろう!?
砂漠化が進む。
作物が採れない。
食糧難、食品の物価は上がる一方だ。
昔に比べれば、もう上がって来ている。
餓死者は増えるだろう。
これから、
徐々に人々は、温暖化問題に対して重い腰をあげる。
気付いているんだ。
動いていないだけなんだ。
そんな近い未来に、
自分の知識が、この星の役に立つように。
自分が植えた種で、
砂漠いっぱいに花が咲く。
そんな未来を夢見て、俺は大学に通っている。
そして、
あの砂漠の夢の続きを、
追い求めている。
あの子にも、
いつか会えるかもしれない。
砂漠を植物でいっぱいにしたら、あの子も喜ぶんじゃないか。
なんて…
そもそも、
あの夢は、俺の何なんだ…?
「…梓。梓っ!」
「――…!」
俺は母親の声に振り向いた。
気が付けば、テレビはスポーツ番組に切り替わり、今日行われたサッカーの試合結果を話している。