記憶 ―砂漠の花―[番外編]
こんな危険な所で、そんな独り言を言うアタシが悪かったの。
せっかく青服をクリアしたのに、思わぬ敵に見つかる。
「おいっ、来いよ!猫がいるぞ~!」
街の住民らしき男の子が仲間に呼び掛けている。
ぅ、にゃぁあぁぁ…
――て、天敵にゃッ!!
アタシは一目散に走り出した。
「あの猫、風呂入りたいってよ~?」
「変な猫~!お望み通り水攻めにしてやろうぜ~!」
「おぉ!」
小さな手足を一生懸命動かせて、逃げるのだけど…
アタシのサイズじゃぁ限界があるわ!
『ぅみゃぁッ!?』
後ろから、冷たいお水がアタシの体を濡らす。
…びちゃッ、
……びちゃッ、ばしゃッ…
『にゃんにゃのよぅ!?』
走りながら首を後ろに回すと、
ウィッチの男の子たちはアタシを追いかけながら、その手から魔力を使って水を出していた。
アタシをめがけて。
…びちゃッ。
「いえ~い、ヒットぉ!」
楽しそうに笑っている。
うぅ…
――全然ッ楽しくないにゃッ!
『みゃぁ~!だから嫌いよぅ、男の人にゃんてぇ…!』
アタシは半分泣きながら、走り続けた。
…見えた。
お城の塀がアタシの視界に入る。