記憶 ―砂漠の花―[番外編]
城の方を向く。
偶然とはいえ、
天敵のいたずらっ子に追われて、行き場をなくして城に逃げ込んだ猫ちゃん…
筋書きは、最高よね。
でわでわ…
失礼すりゅわよ…?
そろりそろりと城の庭に足を忍ばす。
城の庭から様子を伺って、なんなら会話を盗み聞いて…
危ない事はしちゃダメって…、
ご主人様にも言われていたし、すぐ帰るつもりだったの。
…本当よ?
いくらアタシが、出たがりで小生意気で可愛くて強い子だからって、ウィッチ相手じゃあ無理だもん。
いたずらっ子に負けかけたアタシよ…?
ちなみに『負けかけた』よ?
負けてないのよ?
そこ、
とっても重要よ?
それに、ご主人様ったら、
あぁ見えて…
怒ると怖いんだかりゃね…
でも…
長い時間歩き続け、さらに追いかけ回されて全力疾走したアタシは…
ニャ…
『…ねみゅい…』
アタシの足はくたくたで、止まってしまった。
うん。
眠かったのッ。
だって普段ならお昼寝の時間ですもの…
『少しだけ…少しだけお休みしりゅわ…』
アタシは周りに木の茂るふかふかの草のベッドで…
ちょっとだけ、
眠ってしまったの。