ダンデライオン~春、キミに恋をする~
だけど……。
体はそのままの位置で止まっていて。
何かに支えられていた。
……?
キュっとつむっていた目をそっと開ける。
「大丈夫?」
「…………う、うん、平気」
「そう。よかった」
少し長い前髪の間から、まっすぐにあたしを見下ろした響。
その彼の片腕の中に、しっかりと支えられいて……。
しし、心臓が、口から飛び出すかと思った。
こんなに近くで響の顔見るの、初めてで……。
目尻に出来る笑いシワに、胸がキュンって鳴く。
体に回された響の右腕。
遠慮がちに触れるその腕から、響の優しさが伝わって。
そこからふにゃふにゃに溶けちゃいそうだ。
「椎菜って、思ってたより小さいんだな」
「ひ……響が、おっきいだけだし!」
「っはは。ムキになった」
「~~~」
ダメダメ!
なんか違うこと考えよう。
たぶん今の状況を冷静に考えてしまったら
本当に立ってられなくなりそうだった。