ダンデライオン~春、キミに恋をする~
・恋は動き出す。
―――――……
―――……
「もぉ。ほんとギリギリだよ~、超焦ったんだからね」
なんとか間に合って、慌てて席についたあたしを待ち構えていた沙耶が小走りに駆け寄ってきた。
「沙耶、おはよ。ごめんね」
「でも、みんな同じクラスでよかったね☆」
頬を膨らませた沙耶を見て「テヘヘ」と頭を掻いたあたしに嬉しそうに話しかけてきたのは、のんちゃんだ。
「ほんとだよねぇ、Gクラスまであるのによくみんな一緒になれたよぉ」
うんうんとうなずいたのは、ゆっこ。
あたし達4人は、1年の時に同じクラスだった友達だ。
大の仲良しで、いつも一緒。
「これで、うちら3年間一緒なんだね!」
2人の言葉に、むくれていた沙耶も興奮気味に身を乗り出した。
「……それにしても、シィが遅刻するなんて珍しいね」
「なにかあったの?」
1つの机を囲むようにして、立つのんちゃんとゆっこは顔を見合わせてあたしを見た。
「春休み、遅く起きてた癖で寝坊しまして……」
「その寝坊のおかげで、いい事あったんでしょ?ほらほら、さっきの話。 詳しく聞かせてよ」
そう言うと、沙耶は含み笑いしつつあたしの顔を覗き込んだ。