ダンデライオン~春、キミに恋をする~
頭の中のスクリーンでは勝手に何かが膨れ上がってく。
浮かんでは消して。浮かんでは消してるうちに、なんか物凄い脱力感に襲われていた。
「……疲れる……」
それにしても……。
高校生で、1人暮らしなんて……。
響のご両親の仕事の都合で転校してきたって言ってたのに。
「……」
“イケナイ”とわかってても、どうしても気になってしまう。
小さく息をつくと、あたしは響の部屋をぐるりと見渡した。
アパートの外観と同じで、部屋の中の壁もコンクリートがそのままになってて。
深い茶色を基調にした家具と、グリーンのソファが広いリビングの真ん中にポンッと置かれていた。
間接照明で照らされた室内は、なんだか雑誌とかに載ってそうな程オシャレ。
でも、必要なもの以外なにもなくて。
生活感に欠けてるんだ。
あたしの部屋なんかと大違いだな……。
そういや今日脱いだパジャマ、そのままベッドに置いてきちゃったような。
って、それ……女としてどうなのよ?
薄暗い室内で、赤いランプが点滅してるのに気がついた。
それはよく見ると電話で。
点滅の正体は、留守電なんだとわかった。
濡れたままの浴衣の裾を持ち上げて、こっそりと電話を覗き込む。
「……す、すごい」
その件数に思わず度肝を抜かれた。
だって、だって……!
――…ガチャ