ダンデライオン~春、キミに恋をする~
きょとんとして首を傾げたあたしを置いて、満足そうに笑うと響はさっとソファから立ち上がった。
そして、窓のほうへ向かうとカーテンの隙間から外を覗いた。
「――あ、雨上がってる」
綿毛って、どうしてそう思うの?
どうしも、その理由が知りたくて。
その先を聞けば何かがあたし達の間で変われそうで。
窓の外を覗き込む響の元へ駆け寄ろうと足を踏み出した。
だけど、ズボンも借りてたことをすっかり忘れてて。
「あの、響……わっ……きゃああっ」
反転する視界。
その瞬間、咄嗟になにかに捕まった。
――転んじゃう!
そう思ってたのに、いつまで待ってもあたしの体に痛みなんかちっとも感じなくて。
「……」
恐る恐る目を開けてみる。
目の前に広がる光景に、なんであたしが無事だったのかがわかった。
だって、だって……。
「……椎菜、大丈夫?」
「………………」