ダンデライオン~春、キミに恋をする~
・無意識とは何より罪
梅雨も明けた、夏休み間近の水曜日。
ギラギラの太陽が、容赦なく降り注ぐ。
――夏、到来。
「あつー……」
あたしと沙耶は並んで木陰に座り、目の前のグランドを恨めしげに眺めていた。
「てゆか、間違ってるよね。 こーんな暑いのにソフトって」
「ん……間違ってる」
広いグランドでは女子とも在ろうものたちが、顔を真っ赤にして青い空に打ち上げられるボールを必死に追っている。
そう言うあたし達も、すでに顔真っ赤。
順番に交代で、休憩しながらゲームに参加してるんだ。
「普通はプールとかでしょー……あー!あつーいっ」
沙耶はジャージをバタバタとさせて服の中に風を送り込んでる。
あたしはそんな沙耶から視線を外し、グランドを眺めた。
ここからも見えるプール。
そこには1年生らしき女子生徒が、水しぶきを上げて気持ち良さそうに泳いでる姿が見えた。
いいなー……。
「……てか男子もよくやるよね。 高飛びとか絶対無理だし。んーでも、ソフトよりましかー……」
そうなんだ。
同じグランドで、クラスの男子も授業を行っていた。
ふたつある高飛びのマットで、次々に飛んでいく男子達。
ぼんやりとそれを眺めているとその中に、一際目を引く姿。
「……」
あ……見つけた。