ダンデライオン~春、キミに恋をする~
……響だ。
この暑い中、それをものともしない涼しげな表情。
汗をジャージで拭う姿もさまになってるし。
太陽の光に照らされて、色素の薄い髪が透けちゃいそうなくらい透明に見える。
真っ白なシャツと白い入道雲がよく似合う。
はあああ……かっこいい。
なんてうっとりと溜息をついたあたしの横からなにやら怪しい笑い声。
「グフフフ」
ハッとしてその声のしたほうを見上げると、沙耶がなんとも言えない顔であたしを覗き込んでた。
「……な、なに?」
怖くて、少しだけ身を引いたあたしにさらに詰め寄る沙耶。
その瞳はまるで子供が楽しいことを思いついた時のようにキラキラ輝いている……ように見える。
「シイ……最近どうなの?」
「え、さ、最近って?」
ジリジリと間合いを詰めらる沙耶と同じように、下がるあたし。
こ、怖い。
「とぼけたって無駄なんだからねっ。成田とどうなのよお、ほらほら、報告しちゃえ」
「べ、別に報告する事なんて、何もないよ」
「ええ~? だって、最近イイ感じじゃん。あんたら」
「え? そ、そうかな?」
そう言われて勝手に頬が火照る。
これは、今日の気温のせいだけじゃない。