ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「ねえ」
カーテンを勢いよくあけたその時。
呼び止められたその声がやけに耳について。
あたしは思わずビクリと震えて立ち止まってしまった。
振り返りたくない。
振り返っちゃいけない。
なぜかそう思う反面。
あたしの体はいう事を聞いてくれなくて……。
それはきっと、大野健吾の視線が痛いほど背中に突き刺さるのを感じてるから。
「……」
「聞きたかったんだけどさ」
「え?」
ギシ……
ベッドの軋む音がする。
大野健吾が近づいてくる。
背後に彼の気配を感じながら、あたしはオズオズと振り返った。
「な、なに?」
「……あんたとさっきのヤツって付き合ってんの?」
……え?
見上げてしまうほど背の高い彼。
まっすぐに見下ろされて、思わずたじろいでしまう。
「……どうなの?」
……つ、付き合ってんのって……。