ダンデライオン~春、キミに恋をする~
“どうなの”って言って首を傾けながら
あたしの様子をうかがってる。
彼の瞳は、あたしの心のウラガワを見抜いてきそうだ。
それくらい、揺るがない視線。
……ドクン
鈍く、鳴る。
ドクン
ドクン
付き合って……る。
うんん、あたしと響の関係は
泉先生に対してだけ、そう思わせればいい関係。
だから
付き合って…………
ない。
唇を噛みしめて、負けないように大野健吾を見上げた。
「な、なんで、アンタにそんな事言わなくちゃならないの?」
「知りたいから」
「……」
なんで?
思わずうわずってしまった言葉にかぶせるように、大野健吾は答えた。
差し込む陽の光が白い床に反射して。
まぶしくて目を細める。
挑発するみたいに見下ろす彼の左耳がキラキラしてる。
そこには遠慮がちに、ピアスが光っていた。