ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「じゃあ、証拠見せてよ」
「は?」
今度は何を言いだすかと思えば……。
「証拠?」
大野健吾はゆっくりとあたしの周りを歩きながら、主のいない真っ白な椅子に腰を落とした。
――…ギシ
それを後ろ向きにして座ると、背もたれに腕を乗せたまま、上目使いであたしを覗き込んだ。
「つかさー……俺、仮にもアンタに告ったんだけどぉ。スルーするなんて酷いじゃん。
信じられないから、諦めようがないしー。 こう見えてガっつくよ? 俺」
「……あ、あの」
「オシに弱そうだからね、センパイ。 落とす自信あるんだけどなぁ」
ローラーのついた椅子を軋ませて、大野健吾はにっこり微笑んだ。
彼の背後から、目には見えないオーラを感じる。
「……っ」
……ま、負けそう。
思わず怯んだ、その時だった。
大野健吾は、とんでもない提案をしたんだ。