ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「ああああああっ!」
ガバッと立ち上がって思い切り彼を指差した。
う、うそ……。
あたしを見て驚いてるショウちゃんの隣で、同じように目を見開いてる彼。
何度も瞬きを繰り返しているその瞳は、真っ直ぐにあたしを捕らえた。
あたしの声につられるように、クラス中が騒がしくなる。
だって……。
「……おいおい。その気持ちはわかるが挨拶くらい聞いてやれ」
半ば呆れながら、ショウちゃんはちょっとだけ困惑した様子の彼の肩をポンッと叩いた。
あたしはその場にユルユルと腰を落とした。
「はじめまして」
透明な低い声。
見覚えのある微笑。
「成田 響です」
あたしを面白そうに眺めながら、成田くんはその唇をきゅと持ち上げた。