ダンデライオン~春、キミに恋をする~
……ちょっぴり面倒くさそうに聞こえるのは、あたしの気のせい?
チラリと視線を上げると、ちょうどこっちを見た響と目が合う。
なにやら意味深にジッと見つめられてから、さらに視線を落とした響。
「……椎菜、すっごい荷物」
「え? ああ、これは……あたし、いっつもそうなの」
肩にかけ直しながら、あははと笑うあたしを見て、スッと目を細めた。
そして、後ろを振り返る。
「……で。 アイツは?」
「え?」
響が探しているのは……。
「あ、時間通りじゃーん」
まるでこの夏の日差しのようにテンションの高い声。
なぜか上から目線。
ギギギって首が鳴りそうなほど、ぎこちなく声の主を見た。
その声といっしょ。
真っ白なTシャツに派手な柄パンを履いた、大野健吾が大げさに手を振りながらこちらにやってくる。