ダンデライオン~春、キミに恋をする~

「……」


肩を震わせて、なぜか笑いを堪えてる響の姿。

大きく開いた窓枠に腰を掛けて。
小首を傾げながら笑う響は、なんてゆーか……。


胸を熱くする……。



「な、なに?」


意味がわかんなくて、かああと頬が火照る。


「ん? あー、ごめん。……ッはは。 だって、椎菜ってばさっきから食べ物ばっか」

「えっ」


手の甲で口元を抑えてるあたり、笑っちゃいけないんだろうって、思ってる。

あたし、今自分がなに言ってたかあやふや。
何か話さなくちゃって、そればっかりだったし。


……にしても。
わ、笑われた……。恥ずかしい……。

あたしって、食い意地張り過ぎ。



シュウウって湯気が出そうなほど真っ赤なあたしを見て、響は目を細める。



ドキン



「……心配しなくてもいいよ」

「え?」



顔を上げると。

窓から差し込む光のせいで
逆光になった響のシルエット。


色素の薄い、茶色の髪がキラキラと輝いて見えた。




「あの約束は、まだ有効だから」

「……」



約束……。

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