ダンデライオン~春、キミに恋をする~

その言葉で、胸の中がギュッと締め付けられた。


約束って……。
あの、「約束」だよね?



思い出す。
響に、「付き合って」と言われた時の事。

あれはまだたんぽぽが咲き乱れてる、春だった。

でも、今はもう夏休み。



あの時から4ヶ月近くたってる。
月日だけじゃない……。

あたしの気持ちだって、あの日から……。



見上げると。
響は眉を下げて笑った。



トクン




どうして?
どうして、さみしそうに笑うの?




『手ェ、出さない』



これが、響の約束。
あたし達の、付き合っている条件。


わかってる。
だけど、どうしてかな?


そう言った響は、



「だからそんなに警戒しないで」


そう言って、笑うんだ。


あたしはコクンとうなずいて。
知らないふりをした。



「……」



だって……。

最近の響はわからない。


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